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アン・ソンギ氏トークショー
今日は立命館大学コリア研究センター主催の
「第3回韓国映画フェスティバル アン・ソンギ氏トークショー」へ行ってきました。
早速、トークショーの内容の要約をあげますねぇ

16時30分スタートで、まだ会場がざわついている状態の中
いきなりアン・ソンギさんがスタスタとステージに現れる(w
その後ろから通訳のイム・チャンジョンさん、
進行役(聞き手?)の冨田美香さんがついてくるってな感じの
なんだか不思議な雰囲気でしかも、アン・ソンギさんなぜか中央ではなく端の席に座り
通訳が真ん中ってなんだかますます変な感じのオープニング(爆
マスコミ関係者がステージ前に集まり写真撮影、
この途中でスタッフがアン・ソンギさんに駆け寄り
中央に座るように促す(一旦、「別にいいよ」みたいなことをゆーてたようですが)
中央に座りなおす。
が、しかし中央に座ったことで問題が。。。
中央に花が飾ってあり、前の席の方が花が邪魔だと騒ぎ出す(爆
花を机の下におろす事で一件落着(この際、アン・ソンギさんまで花を動かすのを手伝う。。。ええ人やぁ)

あ、肝心のお話なんですけど
子役としてデビューして現在に至るまでの流れや、転機となった出来事などを
聞き手の冨田さんが質問していく形で進められました。
その中でのいくつか印象深かった話を。。。


★アン・ソンギ氏は子役の後少し映画から離れて、兵役が終わってから俳優に復帰しているのですが、その復帰の経緯について

大学でベトナム語を専攻したが、卒業した時点でベトナム戦争から韓国軍が撤退しており
ベトナム語を使う機会がなくなり、民間企業にも就職が難しかったので俳優に復帰した。
復帰した時期が1978年、パク・チョンヒ大統領の軍事政権下にあり
製作される映画は、厳しい検閲によって表現が制限されていた。
厳しい世相の中、民衆の憧れの的、尊敬を受けるような俳優になりたいと思ったが
最初の3本は、(軍事政府のいいなりで製作された映画であったため)映画製作に関わるのがつらかった

★4本目の映画「風吹く良き日」(民主化運動を背景にした映画)から方向性が変化したように見えるが、そのきっかけは?

 「風吹く良き日」の話を聞いたときに、自分から噛み付くように出演を決めた
 そして、撮影の最中にパク・チョンヒが暗殺され、政府が混乱していたため
 検閲機関が機能を果たしておらず、民主化運動を背景にした映画を製作することができた。
 少し遅ければ、また一段と厳格化された検閲に阻まれていたことだろう
 この映画は韓国の知識人にアピールできたし、勇気を与えた作品だと思う。

★俳優パク・チュンフンとの縁について
 
 昔、奥さんとミョンドンでデートしているときに、当時大学生であったパク・チュンフンが
 走って追いかけてきた、逃げても逃げても現れて2キロくらい走ってきた(w
 それから20年間で4本の映画で共演したが、どれも評判も良く、興行的にも成功をしているが
 いつも二人で「この二人が組めば成功するのに、なぜ5年に1回しか作らないんだ?」と冗談を言っている
 でも、「きっと良い作品だから前の印象を消すのに5年かかるんだ」と思っている(w
 お互いの家が見える距離に住んでいて、スポーツクラブも一緒だし、冠婚葬祭に呼ばれても必ずといっていいほど会う、家族よりも親密な付き合いだ
 
★今後の韓国映画の動向について
 
 韓国の経済は今、非常に悪い状況にあるが、映画業界はそれよりも悪い状況にある。
 第一の要因はインターネットにある。韓国はインターネット大国であり、違法ダウンロードが横行しておりPCで映画を観て、映画館に行って観る人が少ない。
 もちろん№1ヒットの映画は映画館に行って観る人が多いが、2番手3番手の映画を映画館まで行って観る人は少ない。
 韓国映画の全盛期は1960年代であった。その次が1990年代後半から2006年まで、
 1960年代以降は検閲が厳しくなり映画業界も沈滞した。
 1990年代後半になると新しい監督が出てきて、新しい素材も出て、また同じ素材でも新しい監督の解釈で新鮮な感覚で見ることができるようになった。
 今の韓国映画は、次に跳躍するための充電期間なのだと思う。再跳躍するための動きも出てきている。
 また、映画の配給システム、資金フロー(流れ)が良くない時期でもある
 映画の第1次収益の85%が映画館の入場料からで、非常に偏っている。第2次収益はCD,DVDの売り上げからとなるが違法ダウンロードのおかげで極端に少ない。
 そこで、映画館で収益を上げようとするとプロモーションに莫大な経費がかかる。
 映画投資会社の分析によると、第1次収益が上げられる映画は全体の5%程度しかない。
 収益があがらないから投資会社などから資金が流れてこない。
 また、韓流ブームの影響で映画の収益の50%を日本マーケットで上げていた時期があり
 今、ブームが下火になってきて、日本マーケットで収益を上げるのが厳しくなってきている
 対策として、制作費の現実化、成功報酬をもらうような「ランニング・ギャランティー」の導入を行うことを提案している。
 ソ・ジソプが出演している「映画は映画だ」がモデルとなり低予算で製作していく方向に向かうのではないか?
 もちろん、大作は作らなければならないが、中間のあいまいな作品は淘汰されていくだろう。



まーこんな感じで全体的にかなり硬派な内容ですけど
実際は、アン・ソンギ氏の人柄というかソフトな話し方のおかげで
とても和やかな雰囲気でした。
また、アン・ソンギ氏だけ質問内容をイヤホンで同時通訳で聞いて答えるという形だったのですが、質問を聞くときだけスイッチをオンにしていたらしく、何度かスイッチを切り替えるのを忘れて
冨田さんが質問している最中に「あーーーーーータシ。。。タシハンボン。。。」と机に突っ伏すこと2,3回。。。
これがめっちゃかわいかったです(w
それと通訳のイム・チャンジョンさんが誤訳してしまい、
最前列にいた主催者の徐教授にすかさず突っ込まれるという場面もありましたが、アン・ソンギさんも会場も笑いの渦でした
予定の90分を10分ほどオーバーしてもまだ話したりずって感じでしたが
続きは日曜のシンポジウムでってことでした♪

この最後の質問に対してのアン・ソンギ氏の回答を聞いて
「あー韓国にこの人がいれば安心だな」って思えるような
現実をシビアに捉えるだけでなく、今後の方向性までも見据えている
この人が韓国映画俳優協会の会長さんで心強いと思いました。
きっと問題は俳優とかじゃなくて、取り巻くビジネスが悪循環を起こしてるんよねぇ
by gomazokun | 2008-10-24 21:40 | その他
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