FILM2.0 NO.396(P47)
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【新しい悪党の誕生】
イ・ビョンホンは悩んだ、
イ・ビョンホンは‘悪い奴’パク・チャンイがなぜか自分のキャラクターに沿わない気がした。
「普通、シナリオを見れば、‘この映画は私のだ’という感じがわくのですが、
一種の直感みたいなものですが、<ノム>はシナリオを読んでみても、
興味はあるがチャンイが私のキャラクターだ、という気がしてこなかったんです。
満州ウエスタンというジャンルもなじめなかった。」

 しかし、イ・ビョンホンは馬賊団の頭目パク・チャンイになった。
キム・ジウン監督に大きな信頼を置いていたからだ。
「キム・ジウン監督は、いつもシナリオより完成度の高い映画を作るんです。
実際は、初めてシナリオを見たときには、どんな映画になるかは分からないものですが、
キム・ジウン監督の映画だけは信頼が出来るんです。
作品が終わるごとに演技力を輝かせていく俳優がいるように、監督もそうなんです。
毎作品ごとに想像以上に進化する監督です。」
イ・ビョンホンとキム・ジウン監督は<甘い人生>ですでに阿吽の呼吸をみせてくれた。

 新しい悪人を演じてみたかったのは、俳優としての欲もあった。
「今まで数え切れない悪人たちがいましたよね。
しかし悪人はキャラクターがはっきりとしていて大部分がひとつの典型をなしている。
そんな風で、ちょっと、これがいかにも負担で、
不思議と当然のように挑戦欲が沸いてきたんです。うまくやってやろうと思ったんです。」 
そしてイ・ビョンホンはデビュー16年目で初めての悪役を演じた。
しかも世間では聞いたことがないようなひどく残忍な悪役を。

 チャンイは、悪党たちのあふれる満州でも指折りの悪党だ。
自分の道に邪魔が入れば、苦労をともにした部下でさえも無慈悲に切り裂く。
容赦なく、血も涙もない彼の我慢ならないことは‘最高でないこと’だ。
チャンイにとっては最高でない2番手であることは無意味だ。
‘満州で最高’という言葉にもメラメラと燃えた。世間で最高になりたい‘悪い奴’は
‘ひどい奴’にもなりえてしまう。 
しかし、イ・ビョンホンの演技で‘悲しい奴’のような修飾語も追加された。
「ドウォンとテグは同床異夢ですが、戦略的だったとしてもしばらく同行したりしました。
こんな点でも2人の人物はいくらか現実的です。
しかしチャンイは蜃気楼のように夢を見る夢想家、理想の中の人です。
生きていくためにジタバタともがかず、もっぱら名誉、自尊心だけが大事なんでしょう。
それだけが存在理由だから。
ついてくる部下たちがいなくても、独りでも、同じ。寂しい、悲しい男なだけです。」

 俳優人生最初の悪役を演じるため、イ・ビョンホンは生まれて初めて
濃い扮装をしてカメラの前に立った。
スモーキーな化粧をした黒い目元と、砂嵐になでつけられたようなヘアスタイルで、
チャンイは頭の先からつま先まで‘悪い奴’そのものだ。
しかし、悪役だということをさらけ出す外見的設定と違い、
今回の映画ではイ・ビョンホンの演技は繊細な抜きんでた才能を見せた。
「観客が映画にのめりこめないような過剰な演技をしたくなかったんです。
いつも演じるごとに思うことだけど、キャラクターになりきれば、僕がどんなに柔らかく話し、
にこやかに行動してもキャラクター自身の殺伐とした、身の毛もよだつ恐ろしさが
観客には伝えられると信じていました。
だから今回は、現場の状況に僕自身をゆだねる場合が多かったです。」
自信に満ち溢れ無差別に殺人を犯すうぬぼれの中で、
男たちの知らない劣等感と寂しさを持った、その相反する要素たちが極端にぶつかる
新しい悪人。
チャンイはそうして誕生した。


9ヶ月をチャンイとして過ごしてクランクアップ後 半年が過ぎたが、
映画とキャラクターを情熱的に語るイ・ビョンホンは実は当日ひどい扁桃腺炎で首をしっかりと押さえて、冷や汗さえ流していた。
彼は「海外在留期間の間、会えなかった友人たちとお酒を一杯飲んだりして、体が疲れたんだ。」
と言ったが、最近の彼の歩みを注視していた人にとっては、過労が原因なのは明らかだった。
 
 彼のこの一年はまさに熾烈だった。
香港と中国を行ったり来たりしてトラン・アン・ユン監督の<I come with the rain>と
<ノム>を同時に撮影し、すぐに続けてハリウッド進出作の<G.Iジョー>に合流した。
一年で普通、1作品を撮影する以前を思うと意外な試みだ。「去年よく思ったのは
‘あまりに深思熟考すぎず、あまりに慎重すぎず’でした。
だから、無理だ、と思っても、新しい作品は全部俳優として発展する良い機会だから、
と出演を決定しました。」
休む間もなく彼のスケジュールは続いて、現在、ドラマ<アイリス>を決定したところだ。
しかし選択後に得た結果に対しては、イ・ビョンホンは普段より慎重に見えた。
「この経験が私にどんな得と損を残すのかは時間が過ぎてみたら分かるでしょう。
今は僕が一歩前進しているのか、後退しているのかは、よく分からないんです。
実は不安もありますが、選択には後悔はありません。」
しかし、彼も知っているし私たちも感じている。最高の頂点で、また違う頂上を捜すという挑戦が、俳優をどれだけさらに深く、広く再構成することか。
新しいイ・ビョンホンに会う瞬間だ。


“生きていくためにジタバタともがかず、
 もっぱら名誉、自尊心だけを重要視します。
 それだけが存在理由だから。
 寂しい、悲しい男なだけです。”


special thanks viva!-san

びばっちよりみなさんへ伝言です(w
「勉強のためちょっと頑張りましたがグッタリです~」
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by gomazokun | 2008-07-23 21:40 | 記事
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