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思いつき読みきりストーリー1「ミンチョルの癖」
思いつき読みきりストーリー1「ミンチョルの癖」 _d0059113_0315522.jpg

その夜、ヨンスとミンジはキッチンとベランダを行ったり来りしてキムチの漬け込みに忙しかった。
寒いこのシーズンの恒例の風景だ
まして、この家族は「ヨンスのキムチじゃないと嫌だ」と長期出張を拒否してしまうミンチョルを筆頭にみんなヨンスの漬けたキムチが大好きなのであった。
 ミンチョルはキッチンで手袋をして一生懸命キムチを作っているヨンスの横顔を眺めているだけでしあわせな気分に酔いしれていた。あの浜辺の民宿で朝食を作ってもらって以来、ミンチョルはヨンスの料理をする姿を見るたびに自然に笑みがこぼれるのであった。
あの後、僕のスプーンに骨を取って食べやすいようにした魚を乗せてくれたんだよなぁ
といつのまにか思い出にふけっていた
そこへミンジが「お兄ちゃん!なんて顔してるの口開いてるわよ!またお姉さんに見とれてたんでしょ!」
「いいじゃないか!奥さんに見とれて何が悪い!」
「あら?最近はお兄ちゃんも開き直るようになったのね。ごちそうさま」
そのやりとりを聞いていたヨンスが「あなた、今晩中にキムチを漬けてしまわないといけないから今日は先に休んで下さい。」
「えーー、僕は君が隣にいないと寝れないって知ってるだろぉ。ここで待ってるよ」
(お兄ちゃんこんなことも私の前で平気で言うようになったのね。。。byミンジ)
「明日は早く会社に行かなくちゃいけないでしょ」
「わかったよぉ。。。」
ミンチョルはしぶしぶ寝室に引き上げ、ベットでしばらくゴロゴロしていたがいつのまにかヨンスの枕を抱いてスースー寝息を立てていた。
しばらくして寝室で「ドスン!」という音がした、その音はキッチンで洗い物をしていたヨンスとミンジには届かなかった。
「あーこれで来年もおいしいキムチが食べられるわねぇ。お姉さんありがとう。じゃあお休み」
二人はそれぞれの寝室に引き上げた。
ヨンスが寝室に入るとベットの上にミンチョルの姿がない。
「トイレかしら?」トイレのほうの様子をうかがっても人の気配はしなかった。
ヨンスは急に不安にかられた。あわててミンジの部屋へ行き「室長が部屋にいないの!」と今にも泣き出しそうな顔でミンジに訴えた。
ミンジは二人の部屋を覗いてみたが、確かにミンチョルの姿はなかった。
「まさか、一人で眠れないから拗ねてどっか行ったのかしら、会社かな?」
「そんな。。。でも携帯も置いてあるし、いったいどこへ行ったのかしら」
ヨンスの目には涙があふれていた。
そのとき、ベットの下から「ゴン!」という音とともに「うーん。。。」とうなり声が
ミンジがベットの下を恐る恐る覗き込むとそこにはヨンスの枕をしっかりと抱いたミンチョルの姿が。。。
「お兄ちゃん!まだこんなに寝相が悪かったの!ベットの下にもぐり込むなんて!子供じゃないんだから!」
「???ここは?ベットの下?声がしたから起き上がろうとしたけど起き上がれないんだ」
「お兄ちゃん!しっりしてよ!お姉さんがびっくりしてるでしょ!早く出てきて!」
ミンジに手を引っ張られてベットの下から這い出てきたミンチョルは、そーっとヨンスを見上げた
ヨンスはビックリしたのと安心したのとで涙が止めど無く流れていた。
ミンチョルはベットに座りヨンスを引き寄せ膝の上に座らせると、抱きしめながらヨンスの涙にくちづけをした。
「あなた。。。あなたが私を置いてどこかへ行ってしまったかと思ってわたし。。。」
「ヨンス。。ごめん。実は子供のころから、寝たところと同じ場所で目覚めたことがなかったんだ。君を抱きしめて眠ると安心してちゃんと眠れるのに、君が側にいないと寝ていても無意識に君を探して体が勝手に動くんだ。」
「だから僕はヨンスがいないとダメなんだ」
「あなた。。。」
二人は唇を合わせたままベットへ倒れて行った。。。

ミンジの姿はいつのまにか消えていた。。。(終)
by gomazokun | 2005-06-25 00:35 | みんちょる君
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